両思いになった二人に暗雲が…「ガラスの仮面」別冊花とゆめ2011年4月号感想

別冊 花とゆめ 2011年 04月号 [雑誌]

別冊 花とゆめ 2011年 04月号 [雑誌]

●あらすじ
ついに夢のようなワンナイトクルーズは終わりを迎えた。
下船前、マヤに買ってやったドレスなどを自宅に送り届ける手配をしている真澄。
さすが社長気が利く。こういうことさりげなくしてくれる男っていいですよね。
マヤ(船を下りたら、またもとの生活にもどる…夢になってしまいそうでこわい。
速水さんは、あたしなんか想像もつかないくらい厳しい社会で生きているひと。それにくらべあたしは舞台と稽古場しか知らない。速水さんから見たらあたしなんか子どもに見えるよね…)とそんな速水を見つめている。
そのとき、真澄がマヤの肩を抱き寄せる。
「マヤ……この先何があって、俺を信じてついてきてくれるか?」


うーむ、ちょっと、先月号から飛んじゃった感があります。
甲板で(時が止まればいい…)と思ってから下船までにどんな会話があったのか、コミックス化の際には加筆がされるのでしょうか。


真澄「しばらく会えないかもしれないが、いつかきっときみを、いい形で伊豆に迎えたいと思う。それまで、俺を信じて待っていてくれ……!」
なんかもう……プロポーズ同然の言葉を吐く速水さんにびっくりです。
いい形=「婚約解消して身辺整理して」っていう意味だったら、たしかに当分会えなそうではあります。
マヤも決意の表情でうなずく。「はい、速水さん、はい……!」
この場面の二人のツーショットのコマ、すっごくいいです!
二人とも端整で真剣な表情。

さて、ロビーで待ち構えていた紫織さん、乗客の中に真澄の姿を見つけ、「真澄さま……」と近づこうとする。
なんと、真澄の後ろにいるのは、北島マヤ……。
ひきつった笑いを浮かべる紫織。
「なぜ彼女がここに……」
「彼女はあなたにこれを返しにきただけです。」
真澄は二つに引き裂いた一千万の小切手を紫織に渡す。「破いたのはぼくですが……」
何もいえずに青ざめる紫織。
そう、その一千万は、紫織がおつきの滝沢さんというおばさんを通じて、これ以上マヤが真澄に近づかないことを約束させるための手切れ金として渡したものだった。
真澄は「失礼、ぼくはこの子を送っていきます。あなたには改めて挨拶にうかがいます」と、冷たい顔で紫織をスルー。
!!!速水さんが、紫織さんにここまで冷たくしたのは史上初かも!
いつもは(うわべだけは)親切と甘言で取り繕っていたのに、マヤと気持ちが通じ合った今、何か決意が固まったのだと思いたいですね。


ショックを受けた紫織は、クラ…とめまいをおこし、ドサ!とお約束の卒倒。
やむを得ず真澄は紫織につきそうことに。
「すまない、マヤ、君を送っていくつもりだったが、きょうは一人で帰ってくれ。タクシー乗り場まで送っていくから」
「あたしも残ります!」というマヤに、「だめだ。きみは帰りなさい。君を巻き込みたくないんだ。マヤ……」とつらそうな速水さん。
「速水さん……」せつない表情のマヤ。
つい今朝のことでしたねー。「チビちゃん」→「マヤ」に呼び方を変えたんでしたね。
ここぞとばかりに「マヤ」を連発する速水さんに萌え(笑)。


タクシー乗り場付近、「そろそろ出てくる頃だな。マヤちゃんびっくりするかな」とノーテンキな桜小路くんの姿が。そこへ姿を現すマヤと真澄。
「あれは…速水さん? なぜ速水さんがここに」
真澄はタクシーにマヤをのせようとしていたが、そのときお互いに気づく三人。
真澄は何を思ったのかマヤを桜小路に送らせることを決意。(こんとき白目)
「桜小路君、彼女を稽古場まで送り届けてくれたまえ。君たち二人とも大事な役者だ。くれぐれも運転にはきをつけてくれたまえ」
「桜小路君、マヤを頼む」「は、はい……」
いつもと違う二人の様子に何かが変だと感じる桜小路。


マヤを桜小路に託した真澄は紫織が運ばれた医務室へむかう。
「さ、行こうか、マヤちゃん」とうながす桜小路だが、マヤは心ここにあらず。
「ううん、ごめん、一人で帰って、桜小路君。一人で帰って……」と駆け出すマヤ。
「マヤちゃん!」
「ごめんなさい、一人で帰って!」
一人でカエレって三回言った…桜小路くん気の毒。
(まって、まって速水さん、あたし、本当に大事なこと、まだ何も伝えていない……!)
医務室へ続く廊下で真澄に追いついたマヤ「待って!速水さん…!あたし、あなたに伝えたいことが……」
驚いて振り向く真澄の胸にものすごい勢いで飛び込むマヤ。
「速水さん、あたし……11も年下でチビちゃんだし、舞台と稽古場以外なんにも知らなくて、速水さんのことなんにもわかってあげられなくて……今は足手まといになるばかりかもしれないけど、あたしのこと待ってて下さい。速水さん……」
涙を流しながらあふれる気持ちを訴えるマヤ。
「あたし大人になりますから、早く大人になりますから、まっていてください速水さん、あたしのこと待ってて……」このときのマヤの表情は紫織と見紛うばかりの(笑)いまだかつてない大人っぽさです。色気すら感じさせます。
真澄感動! 愛おしさにあふれる表情でマヤを抱きしめる。
「もちろんだ……もちろんだとも。きみこそ俺を信じてまっていてくれ……」
コートもバッグも床に投げ出して抱き合う二人……!
ああクライマックス!!!
な、なんという神展開! マヤが誰にも邪魔されずに真澄においついた!
言いたいことちゃんと言った!
いいぞ!二人! よくやった!!!


がしかーし!
マヤをおっかけてきた桜小路がその光景を目撃していようとは!!!
(マヤちゃん、速水さん…どうなっているんだ、僕は夢を見ているのか?)
夢じゃないんですよ。桜小路くん。
ショックで口を押さえながらその場から走り去る桜小路。
(うそだろ……こんなことって……誰か夢だと言ってくれ)
だから夢じゃありませんって。とことん間の悪い桜小路くん。


マヤを返した真澄は医務室へ。患者さんとはどのようなご関係ですかと聞かれ、
真澄「婚約者です…」答えながら白目。
多分今更ながらに婚約の事実がずぅぅーーんと重くのしかかってきたのでしょうね。


医務室、貧血で気を失っている紫織の枕元、1000万もの小切手をマヤに渡して自分に近づかないように、なぜ紫織さんがそんなことをしたのか疑問に思う真澄。
(暴漢事件のあと、マヤがさっさと帰ってしまったとウソをついた。なぜそんなことを…)
…鈍すぎる真澄にまた腹が立ってきました。
マヤと真澄の絆に感づいて嫉妬しているからにきまっているじゃん!と読者はヤキモキ…男女の機微というか女性の心理にはさっぱり疎い速水社長です。


一方桜小路は呆然としたまま帰途へ。
(信じられない…マヤちゃんがあれほど憎んでいた速水さんと……速水さんだって婚約者がいるのに……たった一夜の船の上でふたりになにがあったんだ……)
たった一夜に見えるんだろうなぁ、桜小路君には。出会って八年の間の真澄とマヤの微妙に変化し続けていた関係の、まったく蚊帳の外にいたわけですもんね。
ショックすぎて信号が目に入っていなかったのか、目の前にせまったトラックに激突する桜小路のバイク
ドカッ(衝突音)
ワー!!(悲鳴)
ピーポーピーポー(救急車のサイレン)
ここのコマ展開速すぎてギャグみたいです。


さて帰宅したマヤは、アクセサリーケースから以前桜小路にもらったイルカのペンダントを取り出し、
(返さなきゃ……)と、桜小路とはつきあえないことを決意していた。
しかし稽古場に顔を出したマヤに桜小路事故の知らせが!
左足骨折、全治二ヶ月。試演はどうなる!?
ショックをうけるマヤ。
(もしかしてあの後……あたしが一人で帰ってなんていったから! もし一緒に帰っていたら事故にあわなかったかも。ごめんなさい桜小路君……)
ひとっかけらも悪くないのに、自分を責めるマヤ。あーあーもうー。
黒沼先生でも麗でもいいから何とか言ってやってほしいです!


大都芸能社長室で水城から桜小路事故の報告を受ける真澄。
試演に間に合わないので、一真役は代役を立てるかと問われ、待つように言う。
水城さんは、紫織が自宅で「わたくし紫のバラが大っきらい」と言いながら紫の薔薇をパチンパチンと切り落としていたことを報告。
さらに紫織の車からみつけた、引き裂かれたマヤの写真の切れ端を真澄にわたす。
水城さんGJです。


お次は聖さん登場。地下駐車場で聖と会った真澄は、マヤのもとに、「これが最後のバラです」というメッセージと一輪の紫のバラとともに、ズタズタに引き裂かれたマヤの舞台写真と卒業証書が送りつけられたことを知る。
フツーこの時点で紫織=犯人と気づきそうなものですが…。
でもマヤが「紫のバラのひとを信じている」と言っていたことを聞きちょっとうれしい真澄。
どうでもいいけど、この場面、わざわざ「地下駐車場」と字幕が入っています。
日帝劇場」みたいな感じです。


さて次のページでもう伊豆の別荘に来ている速水さん。フットワーク軽っ。
聖と会ってから車を運転してきたもよう。
水城〜聖〜伊豆まで同じ日です。(服装がおなじ)さすがマヤがからむと行動も早いです。
やはり別荘からはマヤのアルバムも卒業証書もなくなっていた。
(ここに来るのは俺と聖だけ。例外は…紫織さん!?)
鈍感な真澄もようやく犯人に気づく(遅い)。
まさか紫織さんが紫のばらのひとの正体に気づいたというのか…(白目)


そのころマヤはといえば…
稽古場でイルカのペンダントを握りしめて
(あたしの一真がいない…桜小路くんが、いない…!)
うつろな目で泪を流しているのでした。


ちょっとマヤちゃん!
さっきも言ったけどあなたはぜんぜん悪くないんだからそんな白目になる必要なんてないのよ!
桜小路くんが勝手に迎えにきて「一人で帰って」って言われたのに帰らないで勝手に目撃してショックで事故っただけなのに、
かなり責任を感じているマヤにまたちょっと腹が立ってきました。
せっかく真澄といい感じになれたのに、しっかりしないと!


続く




●感想

いやはや…
事態が急展開すぎてついていけず、何回も読みなおしてしまいました。


前半〜中盤はとてもいい! 完全両思いになった二人の決意も確信できたし。
なんといっても、マヤから速水さんへの告白、そして二人が抱き合う場面への流れが素晴らしい。
「椿姫」の客席で出会ってから30余年8年、13歳と24歳だった二人が、今、21歳と32歳ですかー。
近づいては離れ、いろいろあった二人がようやくここまで来たんですねー(感涙)。
以下5秒走馬灯。
大都芸能の速水真澄ともあろうものが11も年下の(以下略)、あなたはあの子を愛してらっしゃるのよ、グラス握りつぶし、お薬口移し、自宅軟禁、「おらあトキだ…!ジャリジャリ」、プラネタリウム、見合い、速水さんが結婚?どうしたんだろあたし変だ、紫のバラ正体バレ、社務所、宇宙をバックに魂の触れ合い、まさかあの子が俺をループ、指輪泥棒疑惑、ウェディングドレス・ブルーベリー事件(←あれこう書くとなんだかオシャレな事件ぽい)、暴漢事件、アストリア号、そしてこの度の「あたしのこと、待っててください…」
いやー、回想してみると、いいなあ、この二人の恋物語
一巻からマヤと真澄パートだけ読み返したくなりました。
途中でやめられなくなるので体力のあるときに限りますが…。


が、紫織が倒れたのは想定内としても、桜小路が事故るとは…。
紫織の悪事も半分バレて事態は混沌としてきました。
この先どうなるんでしょう。
「この先何があっても」という真澄の言葉がちょい不吉に思えてきてしまいます。
万が一マヤが罪の意識から、真澄をあきらめるなんてことになったらいやです!


でも、私の見解ですが、マヤが「今は足手まといになるばかり」「速水さんのこと何も分かってあげられなくて」と言っていたのは、婚約者がいる男が自分のことを好きだ、といういわゆる「大人の事情」を、わからないなりに受け入れたんだと思うんですよねー。
今までも何度もいい感じになりながらも「速水さんにはあんな綺麗な紫織さんがいるのにあたし馬鹿だ」とゼロか1かみたいなところがあったマヤだけど、それを卒業しつつあるのかなーと解釈しました。
それがあの「大人になるから待っててください」発言だったのではと。


だから速水さんもここは奮起して欲しいです。
こんなときこそ、Wikiいわくの「容姿才能ともに優れた敏腕経営者」ぶりを発揮して欲しいものですね。


マヤと真澄のお約束の伊豆別荘ですが、すでに紫織さんに侵入されて荒らされていますし、場所変えたほうがいいかもしれませんね。
紫織さんに知られてるって言うのは非常にヤバイです。いざというとき、邪魔が入る可能性も大。
別荘がやけに断崖絶壁に建っているのも気になります。(紫織が自殺未遂とかしないことを祈るばかり)
もういいかげん真澄さん寸止めはかわいそうすぎます。ここまで抑えに抑えてきたんですから、心置きなく思いを遂げてもらいたい。
そこで私のおすすめはマヤがむかしヘレン・ケラーの稽古をした、軽井沢の別荘。
「速水さんここって…」「聞いてくれ、実は…」てな感じで到着したとたん紫のバラのことも自然に告白できそうです。
一石二鳥だと思うのですがいかがでしょうか。